2026年1月25日、わくわくゲームズは現在発売中のPvEカードバトルRPG「One Turn Kill」について、3万本の販売を突破したとの報告をXで行った。発売10日でこの本数を達成するのは、インディーゲームかつ二次創作ではない新規IPでは驚異的といっていいペースだ。同作はドット絵アニメーションを多用しており、近年増えつつあるドット絵テイストの作品の一つとして、演出面も含め評価を受けているタイトルだ。
本記事ではドット絵作品の近年の勃興と、これまでのゲームにおけるドット絵の歩みを軽くつまんでいく。
ドット絵の変遷
分かりやすい事例としてファミリーコンピュータを挙げるが、誰もが知っているであろう「スーパーマリオブラザーズ」において、マリオなどのキャラクターを表すドット絵を中心に見ていく。画像を見ても分かる通り、キャラクターを表す上でドットの色使いが明確にメリハリの効いた色合いとして表れている。

そこから少し飛んでスーパーマリオブラザーズ3の時代になると、キャラクターを表すドット絵のサイズが大型化。それに伴い、キャラクターの造形がより分かりやすく表される様になっていく。ファミリーコンピュータ後期の作品である「星のカービィ 夢の泉の物語」の時代では更に進んで、キャラクターのドット絵に陰影が使われる事が増えてくるようになる。こうなるとキャラクターの丸みや立体感をぐっと表せる様になり、ドット絵が「切り絵のような一枚絵が動いている」という状況から、よりビジュアルを明確にしたものへと質を上げていったのである。


時は下ってスーパーファミコン時代。格闘ゲームなど、より大きなモデルの描画が可能となり、ドット絵の表現は一気に花開いた。ストリートファイターシリーズはもちろんの事だが、「魂斗羅スピリッツ」や「ロックマンX」シリーズ、「がんばれゴエモン」シリーズなど、ドット絵の魅力を挙げればきりがないほどに多様なタイトルが生まれた時期である。
何よりもその中で挙げられるべきは、後の高精細ドット絵を生み出す地盤にもなったであろう、ビジュアル面で驚きを与えた「スーパードンキーコング」シリーズだ。3Dモデルのアニメーションを2Dスプライト、要はドット絵に1枚ずつ落とし込むというまさに力技の極致の作業で3Dモデルの様なインパクトのある2Dアクションゲームが出来上がったのである。当時プレイした子供たちがCMを見て欲しがったのも無理はない。
さてこの後ドット絵のモデルは更に高精細化の一途を辿るのだが、そこに一つ分岐点が発生する。Playstationやニンテンドウ64以降に生まれた「3Dモデル」を積極的に利用する流れだ。こちらは立体的表現が可能となる事も相まって、これまでのスプライトの拡大縮小に頼った擬似的な3Dから脱却した表現を模索していく事になる。
ここでドット絵のレールは主に格闘ゲーム、そしてアーケードシューティングゲームの移植という「よりリアルさや緻密さを求める」方向性にシフトした。PlayStationの時代は「Capcom VS SNK」シリーズや「ストリートファイターZERO」シリーズ、「The King of Fighters」といった躍動感溢れる格闘ゲーム全盛期の時代であり、それはPlayStation2リリース時まで続く事になった。PlayStation2ではハードスペックを活かして「メタルスラッグ」などの動きと緻密さのあるドット絵の作品も移植され、そしてドット絵格闘ゲームとしては完成形に至る「ギルティギア」シリーズが登場する。アニメーション作品と見紛うまでに精緻に描かれたアニメーションは、それまでの格闘ゲームが3D化を果たしては表現に迷走していく中で、ある種喝を入れるかの様なインパクトすら持っていたのである。
ブラウン管のマジックと魅力
さて、最近制作されたリマスター版のレトロゲームをプレイしていると「このゲーム、こんなにドット絵がカクカクしていただろうか?」という疑問を持つ方もいるだろう。それは当然のことである。ブラウン管とAVケーブルがゲームの映像出力セットであった時代、ゲーム画面においては少々の「にじみ」が出ていたのである。また表示形式の都合上、画面がやや暗く、ドット間に僅かな格子が入る様な見え方をしており、結果的に現在のくっきりはっきりとした大画面では「ドット同士の色が干渉せず目立つ」という現象が起きているのである。これはX上にも報告・検証のツイートが上がっている。
またこちらはアーケードで稼働予定であった「Slip Stream」というカプコン発のレースゲームであるが、X上の動画とYoutube側の基盤出力の動画を見比べると、Youtube側のほうが発色が明るいが、ドットの境界が目立っており滑らかさは損なわれてしまっているのが分かるだろう。
なお最近のソフトでは「ドット絵の滑らかさを擬似的に出すモード」を搭載している作品もあるため、割と当時の感覚に近い画面でプレイ出来る可能性があるのは良い点だろう。もちろん、メーカーの努力次第ではあるが。


高精細のドット絵作品が出てしばらく経つが、最近出てきたドット絵のゲームは、むしろその「ドット同士の強烈な発色」を活かすタイトルが出つつある。非常に小さな解像度できっちりドット絵のメトロイドライクの作品が遊べる「Ascent DX」や、VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Actionの続編であるアドベンチャーゲーム「N1RV Ann-A: Cyberpunk Bartender Action」、メガヒットを記録した「DAVE THE DIVER」、RPG作品として一大ジャンルにまでのし上がった「Undertale」など、ドット絵の持つ原色の強さを存分に活かそうとするタイトルが多い。ここに来て、ドット絵が「高精細な表現」とは違う、また新たな表現要素として浮上しているのである。
今後もまだまだドット絵を取り扱う作品は出てくるだろうが、今度はどういった表現が生まれてくるのか。古めかしいが新しい可能性を芽吹かせるドット絵の世界の発展を見届けたいものだ。
最終更新日: 2026年1月27日 13:07