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New Worldが継続アップデート終了へ。オンラインゲームサービスの維持困難さが浮き彫りに

 Amazon Games Orange Countyが開発を手がけるMMORPGである「New World」(現在は“New World: Aeternum”としてリリースされている)について、10月28日にAmazon Games Orange Countyが声明を発表。10月11日に解禁されたシーズン10となる「Nighthavenアップデート」を最後に、本作のコンテンツ開発を終了することを告知した。同タイトルは2021年9月にPC向けにサービスインしたタイトルであり、2024年10月にはコンソール版もリリースされるなど着実にサービスの幅を広げている最中であった。

 詳細なスケジュールは未定であるが、2026年まではサーバーの運営が続けられる予定で、今後数ヶ月の間に今後の計画が改めてアナウンスされるとの事。公式からは「ワールドボス、ボーナスウィーク、一部の季節イベントは継続されるが、ホリデーイベントは開催されなくなる」とのアナウンスも行われており、いわゆる季節物の大規模イベントの追加もない事が明らかとなっている。今後の季節イベントは過去開催されたものの使いまわしとなる可能性は高いだろう。

賑わう中でのアップデート打ち切り

 本作の継続的な開発終了はいかにして決定されたのか、その要因として除外しなくてはならないのは「ユーザーがいないからではないか?」という疑問である。非公式のSteamデータ提供サイトSteamDBによれば、サービスイン開始当初は93万人という驚くべき接続数があったものの、同時接続人数は最低の時でも5100人程度、最近ではコンスタントに1万人以上のユーザーが集っているタイトルである。アップデートを行うたびにある程度の人数上昇が見られており、10月13日には5万1千人の同時接続者数を記録するなど決してユーザーからそっぽを向かれたタイトルではないという点は大きい。

 またこれはSteamにおける接続者数でしかなく、コンシューマ側での接続者数はカウントに入れていない状況だ。そのため実数としては更に多くの接続者数となる事が想定される。こういった点から見ても、オンラインゲームとしてはサービス継続可能な範囲でのプレイヤーが居たと見て良いだろう。なお、SteamDBによれば最近の新作であるThe Outer World 2も同時接続者(オンラインのプレイ人数)が1万人少々との事だ。

 そういった状況にも関わらずアップデートが打ち切りとなったのは、直近のレイオフが関係していると見るユーザーは多い。

Amazonの大規模レイオフとライブサービス系ゲームの収益維持の困難さ

 Amazonのレイオフに関する社内メモの内容を報じたJason Schreier氏によれば、今回のレイオフにはビデオゲーム事業、特にMMO部門の開発業務縮小が含まれているとの事である。2023年にアナウンスされたNew Worldチームによる“指輪物語”MMOの動向に注目が集まる状況となっている中で、今回のNew Worldの開発終了はこの手のゲームの愛好家に大きなショックを与えるものだろう。

 実際の所同作はSteamにて9,800円のスタンダードパックか、12,856円(執筆時点)のデラックスパックを買うだけでプレイ出来る買い切り型のタイトルであり、他の課金要素はシーズンパスだけという形態となっている。これはオンライン対応タイトルなどにも見られるスタイルだが、実はこの手の運営方法は継続的な収益をあげる事に対してなかなか手厳しいモデルとなっている。

 プレイ自体が無料のタイトルは、魅力的なコンテンツに対してヘヴィーな課金要素を提示してくる。シーズンパスだけでなく、代表的なガチャなどのルートボックスシステムがその最たる例と言えるだろう。こういったもので短期的に大きな収益をあげてサービスを継続していくという形が昨今では一般的だ。

 一方で古き良きオンラインゲームのタイトルであれば、月額有料であったりタイトルが買い切りであるなど「そこまで高くない一定の金額を支払う事で、継続したプレイの楽しさが保証される」という、ユーザーの懐に優しいスタイルである。このNew Worldもおおよそそれに近しいスタイルを取っているが、これは裏を返せば短期的な収益を見込めないスタイルであり、サービスの維持に必要なコストと新規ユーザー獲得で得られる収益が釣り合いにくいという弱点が存在する。

 データ通信インフラの維持に掛かるコストは年々増加しており、加えて常時他のユーザーの情報を管理し続けなければならないオンラインゲームともなれば、他のオンライン対応コンテンツと比べ維持費用は高く付く傾向となる。これはオンライン対応タイトルの様な少人数を対象としたルーム制ではなく、大規模なエリアに対し常時同期が必要となるオンラインゲームならではの問題だ。これを十全に回収し、そのうえで開発継続を行うに十分な費用を捻出できるだけの売上を計上するのは、そのゲームに相当に魅力がある事が前提となる。現に現在サービスインしているオンラインゲームのうち、ファイナルファンタジーXIVの様なタイトルはパッケージの料金の他に一定期間プレイするための利用料金を支払う必要がある。

 ユーザーから愛されるゲームは出来る限りサービスが続いて欲しいものではあるが、それでも継続してサービスが維持される為には必要な対価を支払い続けなければならない。一つの世界が終わりを迎えてしまう中で、この報に接したユーザー達は街に集まっているという情報も上がっている。彼らの魂は、また新しい世界へと行けるのだろうか。

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尾崎 信也
1986年神奈川生まれ。ゲームニュースエディター。国内ニュースメディア複数社での記者・編集者を経験後、独立。ビデオゲーム業界の最新動向をメインに、ニッチな情報を含む幅広いトピックについて配信。