ゲーム販売プラットフォームであるSteamにて、2025年9月30日(火)~2025年10月7日(火) 午前2:00(日本時間)の間、オータムセールが実施されている。同イベントはSteamが定期的に行う大規模セールの一つであり、通常のウィークエンドやデイリーといった時期のセールとは比べ物にならないほどの量のゲームがセール対象となる。金額は様々ではあるが、この時期を逃すと定価購入となってしまうゲームもあるため、ゲームを買って満足するもよし、実際にプレイするもよしという購買意欲を唆るイベントである。お財布の紐がゆるくなりそうな方には、ぜひ使いすぎに注意するよう警告しておく。
さてそんな同イベント期間内で一つのゲームが注目を集めている。2024年にRedCandleGamesよりリリースされたアクション作品「九日 Nine Sols」である。道教をベースにしたSFファンタジーに、古代中国神話を融合させた2Dプラットフォーム型アクションアドベンチャーゲームと銘打っている通り、作品のベースとなるのは道教だ。猫のような姿の主人公は、中国神話において9つの太陽を撃ち落とした神の使い「羿」という名を持っている。彼が世界を治める9人の太陽に復讐する旅路と波乱を描く物語であり、道教とSFを合わせた「タオパンク」な世界観で冒険が繰り広げられる。

ストロングスタイルな死に戻りアクション
同作の特徴は軽快な操作性と「パリィ」遵守のゲームバランスだ。敵が攻撃を仕掛けてきた際に、ただ闇雲に攻撃を仕掛けていては反撃を受けてしまい、あっという間に体力が尽きてしまう。そこでこのゲームの特徴である受け流し動作を行う事で、敵の攻撃をある程度軽減しつつ、カウンター攻撃に転じることが可能となるのだ。ジャストタイミングであれば体力の消費なくカウンターを取れる他、たとえタイミングがずれても「内傷」という、持続回復可能な体力ゲージとして残存する。これが回復するまでに敵の攻撃が直撃しなければ、受け流しで消費してしまった体力を取り戻すことが可能となるのだ。

もちろん回避不可能な攻撃に対しては、回避動作や反撃手段を伴う行動も解禁されていくため、敵の攻撃と予兆を見切って回避し、反撃に転じるという丁々発止の削り合いがこのゲームの大きな魅力といえるだろう。ただしその分難易度は相応に高く、敵のパターンを見切るまでには数多くの屍の山が築かれる事請け合いである。特に道中における敵の見切りもそうだが、ボス格においてはプレイヤー側に対する殺意が凄まじく、パターンを見切った上で的確に対処しなければならない。プレイヤー側の強化要素もあるにはあるが、ボス戦がぐっと楽になるというものではない。一つのボス相手に20~30分粘る事もままある程にはこのゲームの難易度は高いが、ストーリーモードを選べば多少敷居は低くなるため、どうしてもクリアできそうにないときはそちらで始めるのも良いだろう。

またキャラクター造形もそうだが全編を通してビジュアル面も非常に力が入っている。まだ中盤に差し掛かる前ではあるが、2Dアクションとしては非常に出来の良いアニメーションや背景のタッチは「流石」としか言いようが無い。これがインディーズゲームとして世に出ているのが惜しい程には、一般の商流にも乗れるクオリティの高さだ。
探索要素については広大なフィールドを巡る、いわゆるキャッスルヴァニアやメトロイド方式だ。徐々に主人公の繰り出せる動作や技が増えていくが、大半は解きやすく散りばめられたギミックの解除だ。場所によっては敵との合わせ技で殺意満点の配置となっているが、そういったことを差し引いても同作のアクション要素は「解いていて気持ちが良い塩梅かつ、ギリギリ次のセーブポイントまで体力が持つ」という、絶妙なバランスの上に成り立っている。トライアンドエラーが苦にならないユーザーなら、ぜひプレイして損はないだろう。
隠されたゲームについて
さてこの記事タイトルにもある「隠し要素」についても触れていきたい。実は9月30日より「9日間限定」ではあるが、このゲームに隠し要素が仕込まれているのである。Steamの本ゲームのプロパティメニューから「ベータ」を選択。プライベートベータ用のアクティベーションコードとして「shanhaiarchive」と入力すると、上の参加可能なベータの欄に一つ表示が増えている。バージョンが変わっていることを確認したら、ゲームをスタートする事で隠されたモードが起動するのである。
早速試してみると、どうやら主人公らしき人物は潜水器具を使用して遺跡にやってきたところらしい。光源は腕時計に仕込まれているライト一つというのだから男らしい装備だが、やや軽装に過ぎる予感のするプレイヤーもいるだろう。そこからエレベーターを経由し奥へ進むと、何やら吹き抜けの様な通路に出ることになる。その後同エリアを迂回しながら先へ進むと、壊れそうな床やら転がってくる大玉やら、遺跡を守る装置が稼働している中を突っ切ることになる。


最深部までたどり着いたあと何が起こるかはぜひ確かめてほしいが、これの完全クリアは困難と思われる程の難易度だ。腕に覚えのある読者はぜひトライしてもらいたい。


不穏な背景設定が光る同会社のシリーズ
さてこの隠し要素が公開される前に、RedCandleGameは興味深い動画を投稿している。それが以下のものである。
動画の冒頭から「あなたは本当に人間ですか? (Are you really human?)」という問いでスタートするこの動画は、「Yuuki」と名乗る人物が語り手として登場する。人類の一部に存在するという「4本指の者たち」と呼ばれる古代の血筋について「扶桑」「太陽」そして中国の歴史上の人物である「徐福」などに焦点を当てながら語っていく。このワードは九日ナインソール本編でも出現する用語となっており、また隠しゲームに出てきたシンボルも本編の至る所で目にするものである。そのため、ナインソールとなにか関連があるのではとファンの間では憶測が飛び交っている。
というのも、同社のゲームは「雰囲気づくり」が非常に得意であるのだ。過去作品として台湾における1949年から1989年まで続いた言論弾圧「白色テロ」を取り扱ったアドベンチャーゲーム「返校 -Detention-」や、家父長制が色濃く残る家庭における取り返しがつかない悲劇をグロテスクかつサイケデリックに描いた「還願 Devotion」といった、決してメジャーどころではないが真に迫る描写が多いタイトルが好評を博しているのである。
今回のこの動画も合わせたARG(現実融合型の体験型ゲームコンテンツ)として、今回の隠し要素が用意されたものだと思われる。もちろんその難易度はとんでもないものなので、遊ぶ方はぜひお財布と心に余裕を持っていただきたい。もちろん、九日ナインソール本編は非常にやりごたえのあるゲームなので、セール期間中にささっと買ってしまうのを強くオススメしておこう。
最終更新日: 2025年10月3日 05:42