オンラインゲーム販売プラットフォームとしてPCゲーマーにはおなじみとなった「Steam」。日夜様々なゲームがリリースされ、時にセールがあり、時に怪作が潜む面白おかしい場所である。多くのゲーマーにとって好意的な見方をされている同サービスにおいて、ここ最近不可解な動きが見られている。それは「まったく問題の無いゲームの取り下げ」だ。
日本産コンテンツが対象の可能性はあるのか
2025年10月25日、個人ゲーム開発者の三好静香氏は開発中のゲーム『インナートゥルース』がSteamストアページから削除されたことを発表した。また同日ドラガミゲームスより2025年11月27日発売予定の『LoveR Kiss Endless Memories』もSteamストアページが削除されたとの発表が行われた。どちらの作品についてもいわゆるR指定に入る要素はなく、対象年齢は全年齢である。


インナートゥルースは現代日本を舞台にした3Dアドベンチャーゲームだ。3人の少女が主人公となり、彼女たちを取り巻く現代社会の各問題要素と向き合いながら、敵とのターン制バトルを繰り広げるRPGとなっている。戦略性の高い戦闘要素や主人公の少女が「インナートゥルース」と呼ばれる能力を使う描写こそあるものの、戦闘要素以外で何かしらグロテスクな描写は現状確認できていない。
LoveR Kiss Endless Memoriesは「LoveR Kiss」の新要素追加版となるタイトルで、同タイトルは前作のDLCもすべて内包していると公式サイトには謳われている。ジャンルとしては恋愛シミュレーションゲームで、様々な少女達とデートしてコスチュームを着せたりしながら、お気に入りの写真を撮影するという要素が中核となる。公式サイトではフォトコンテストも開催される程の力の入れようとなっており、最新作はNintendo Switch2にも対応予定との事であった。
この2つのゲームについては確かに主人公やヒロインに少女、あるいは10代の女性と目されるキャラクターが出ているが、それが配信停止の理由になったとは余り考えにくい結論だ。なにせSteamには海外発のタイトルで、同じ様に少女を題材とした作品はいくらでもあるし、何ならばパッチ対応でR指定の描写が発生するようなものまで存在するのである。何故か「日本の、少女が登場するゲーム」であり、しかも大手パブリッシャーではないタイトルを敢えて配信停止とする理由は納得がいかないものである。
配信が危ぶまれた両タイトルは、共にDLSiteでの販売という形で作品の発表を継続する動きを見せている。そのためプレイできなくなるという事はないのが不幸中の幸いと言えるだろう。
水着を着た後ろ姿を拒む「清廉な」Steamの審査体制
80年代スラッシャー映画に影響を受けた非対称ホラーアクションゲーム「Aftermath Z: Red Pine Lake」という作品が10月29日にSteamにて発表されようとしていた。同タイトルはこの後のハロウィンイベント実装などを控えており、スケジュール自体もきっちり組まれているタイトルであった。しかしキーアートに水着姿の女性の後ろ姿を使用していた同タイトルが、Steamにより「過度に成人向け」であると判断され、公開予定日時までの審査が通らない状況になってしまったのだ。

80年代ホラーといえば確かに水着姿の女性も出てくるが、ビジュアルに写っているのはいわゆる競泳用水着を着た後ろ姿であり「泳いでいたが襲われてしまったので何とかする」というシチュエーションかもしれない説得力は存在する。むしろ昨今の水着衣装の中では露出度は少ない方であり、また女性の身体も過度に寄ったカメラアングルではない。
制作者が登録の取り消しと返金を求めた所、しばらくして「担当者が変わった」状況となり、対応のトーンが大きく異なったという。作者はValveがこの騒動を知っているのではないかと訝しんでいるが、真相は定かではない。もっとも、同作者は現在早期アクセス中のホラーゲーム「The Ghost of Nichishima」を出しており、そちらの正式化は現在行われていない中での新作発表となるため、プラットフォーム側として多少の警戒感はあるのだろう。
童顔であれば子供なのだろうか?
少し話題は逸れるが、株式会社ライドオンが展開するNintendoSwitch版『Brave × Junction(ブレイブジャンクション)』について、北米リージョンでの発売が未定となっているという報が飛び込んできた。

配信NGの理由については現在確認中であるが、ビキニアーマーを着た「ファイター」や露出度の高い「マジシャン」の格好が「児童がそういう格好をしている」と見なされた可能性を公式アカウントは仄めかしている。もちろん彼女たちは児童という年齢ではない描写がしっかりされているのだろうし、児童というよりは10代後半から20代以降といった趣である。
今回の配信取り下げやNG対応などを見るに、ゲームにおける「可愛い」表現の幅は狭まってきているのではないかと暗澹たる思いになってしまうものだ。一律的な表現ばかりがまかり通るくらいならば、それはフレスコ画しか描いてはいけないような「退屈な」ゲームの世界なのだろう。
最終更新日: 2025年11月11日 07:42