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TGS2025レポート 高まるモバイル勢の機運と複雑化したゲームの土俵

 2025年9月25日(木)より4日間の日程で、日本の千葉県千葉市にある幕張メッセにて「東京ゲームショウ2025」が開催されている。本記事ではおおまかなイベントの様子と出展企業の動向を挙げていくことにする。

目次
  1. 大接戦のNTEと無限大ANANTA
  2. 色々な要素で攻めていくメーカー
  3. 高い専門性を養う必要性と似たようなタイトルが出続ける予兆
  4. 生活をゲーム色に染めていく
BattleField6のブース

大接戦のNTEと無限大ANANTA

 先日取り上げたNTEと無限大ANANTA、両ゲーム共に似たようなフィーチャリングを持ち、同じようなタイミングで詳報を発表するという事前の動きから、東京ゲームショウ内でも屈指の人気となるのではないかとユーザー達の下馬評がついていた。そしておおよその期待通り、その光景は現実のものとなってしまったのである。

NTEブースの写真

 東京ゲームショウ内の中央に位置する4~6ホールは、様々なタイトルが出展を果たしている激戦区の一つだ。主にスマートフォン向けタイトルやPC向けタイトルといった、コンシューマ向けよりはややデバイスの趣を異にするタイトルを中核としている。そのど真ん中に建っているのが、NTE:Neverness to Evernessと無限大ANANTAのブースである。なんとこの両ブースはほぼお隣同士という位置関係となっており、加えて両タイトルともに注目度合いは凄まじい。とくれば当然、中央部を中心に巨大な滞留が発生する。文字通り人が動きにくい状況が生まれてしまうレベルで、誰も彼もが両ブースに熱い視線を注いでいた。

無限大ANANTAブースの写真

 ぱっと見た上で分かる両タイトルの主な違いとして、NTE側から挙げていく。同タイトルのプレイ風景を見る限りは、4人一組のパーティで行動しキャラクターを即座に切り替え、攻撃やスキルを用いるという「昨今よくある原神風の操作系」となっている。オープンワールド系である事は間違いないだろうが、その画面構成から行くと既存のユーザーにある程度フレンドリーな操作感と言えるだろう。

 一方の無限大ANANTAはキャラクターそれぞれを切り替えていく「GTA風スタイル」である。映像が流れている際でもQTEによるアクションが存在し、そういった意味ではむしろ「コンシューマ系に近い操作感」と言えなくもないだろう。インターフェイスにおいても随分とスッキリしており、操作キャラクターとミニマップ以外で目立つ画面表示は見当たらない状態だ。

 これだけ人気の両ブースはいずれも試遊出来ない程に参加者が押しかけている。本日はビジネスデーであるというのにこの混雑なのだから、一般公開日は輪をかけてどうなるかわからない状況だ。

 もちろん同ホールにはコンシューマ向けとして、コナミブースやPlaystationブースが出展。話題の「Silent Hill f」や、Playstation対応の種々のタイトルの試遊ブースなど様々なゲームに参加者が押しかけている状況であった。

サイレントヒルFのブース

色々な要素で攻めていくメーカー

 ホール7~9にあるブースは、比較的コンシューマ寄りのメーカーの割合が高い。その中でも注目されているブースの一つがカプコンブースだ。同社は「鬼武者」「バイオハザード」「流星のロックマン」「モンスターハンター」と、相次いでメジャータイトルの情報を発信し、加えて試遊可能としている。いずれのタイトルも入場制限60分待ちというレベルであり、どのタイトルについてもユーザーからの期待が非常に大きいものであると期待されている。新作TPSである「プラグマタ」についても同様であり、こちらも長時間の試遊待ちの列が形成されていた。おおよそPVから見て取れる内容通り、TPSシューティングと簡単なパズル要素によるハッキングをリアルタイムで同時に進めていく必要がある。そのため操作難易度はかなりのものになりそうだ。

CAPCOMブース、PRAGMATAの試遊風景

 ホール中央部にはそれぞれ新規IPが試遊可能な状況で出展を果たしている。「アズールプロミリア」は、アズールレーンをリリースしているManjuu Gamesの新規タイトルだ。同作はプレイヤーと相棒キャラクターとなるモンスター「キポ」をお供に進行していくアクションゲームとなっている。ぱっと見ての印象ではあるが、おおよそ「原神とパルワールドを足して二で割る」ような評価通りのゲームというイメージだ。アクション要素は強いものの、そこにお供のモンスターと連携する要素を含ませている。

逆水寒のブース

 中央にあるもう一つのブースではNetease Gamesの「Justice Online (逆水寒)」が展示されている。こちらではブース中央で舞が行われている他、大量の試遊台を中国の楼閣の様なブースでプレイ出来るという、いわばオシャレ方向に要素を振り分けた作りだ。同作は現在事前登録中であるが、MMORPGとしては中国国内でかなりのヒットを飛ばしている作品とあって、日本市場における展開も視野に入れての出展となっている。

高い専門性を養う必要性と似たようなタイトルが出続ける予兆

 ホール1~3はこちらも顔ぶれ豊かな展示となっている。「ゼルダ無双」新作や「ライザのアトリエ2」をリリースするコーエーテクモゲームス、アップデートが入ったばかりの新規タイトル「Mecha Break」を擁するAmazing Season Gamesや、昨日PS5版の開発開始を発表した「首都高バトル」制作元の元気など、話題に事欠かないブースが軒を連ねている。そんな中で専門学校や大学といった機関も学生を募集しているのが東京ゲームショウの常であり、今回はいつにもまして3Dモデリングソフトやゲーム制作のいろはを教える学術機関が多く見受けられた。

首都高バトルのブース

 プレス向けに配布されたCESAゲーム産業レポート2025(一般社団法人 コンピュータエンターテインメント協会著)によると、日本国内でゲームの直接的な開発に関わる人間は5.8~8.3万人(ハードメーカーやソフトメーカー、パブリッシャーなど)、周辺領域も含めれば関連産業の総就業人口は20万人に及ぶとのデータが出ている。また日本のコンテンツ市場は、2024年度のデータによると、家庭用ゲームやPCゲームがあわせて全体の26%を占めているが、総売上の73%である1.7兆円をモバイルゲームが占有している。コンテンツ市場全体で2.4兆円というデータの中でこれだけの売上を記録しているあたり、日本の市場の特異性が見えてくる。米国ではモバイルゲーム市場は全体の50%ほど、欧州では39%と両地域では圧倒的という程ではない所も、市場構造の差を感じさせるものだ。

 こうなってくると自然、据え置きやPCといった領域以上にモバイルでのゲーム作りに対する知識や教育、専門性を磨かせる環境が重要になってくる。しかしここで新作の傾向を見てみると、モバイル向けのゲームの特徴として「オープンワールド系、トゥーン調のアニメライクな3Dキャラクター、スマートフォン向けに簡単な操作でアクション出来る」という要素を持つ、あるいはこういった要素の多くを持つタイトルが増えていると言ってもいい。新作であるNTEのインターフェイス周りは驚く程に原神ライクといっても言い見た目であり、そこに新規性があるかと問われると類似タイトルも含めて「似たりよったり」になったしまう。七つの大罪:Originについてもアクション要素はあるが、画面構成も含め同じく原神ライクとして見られてしまう可能性は高い。

 原神においては、アクション要素が強い崩壊3rdのノウハウを活かしているからこそ原神という作品が世に出たのは言うまでもない。しかし後続の作品が続くにつれ、どうあっても上手くいっている作品というのは二匹目のドジョウの住処として捉えられがちである。いかに類似性以上に強い独自色を出し続けていけるのかが、今後のゲームタイトルの鍵となる要素ではないかと考えられるものである。

生活をゲーム色に染めていく

 9~11ホールはスマートフォン向けタイトル、開発企業、そしてゲーム関連グッズといったものを展開している企業が多く出展している。そんな中で今年も独自グッズを作るのはニトリの流儀とでも言うべきものである。モンスターハンターとの限定コラボレーションゲーミングチェアや「モンハンにどっぷり浸かれそうな部屋」、推し活が進みそうな一室などかなり踏み込んでの展示となっている。

ニトリのブース
横須賀市のブース

 また横須賀市は郊外にeスポーツチームなどを対象としたシェアハウスを用意。全体で6戸が用意されており、残り4戸の空きがあるという。横須賀市は市内にeスポーツチームが存在しており、VR系コンテンツとも積極的にコラボレーションを図るなどゲームカルチャーと共存を図るような姿勢を見せている。担当者いわく「横浜市や鎌倉市といった自治体に挟まれた結果として、横須賀はこういった形に振り切れました。」との事である。

岐阜プラスチック工業ブース

 ハニカム防音パネルメーカーの本格ゲーム用防音ブース「GAMEBOX」を今年も展示しているのは岐阜プラスチック工業だ。同社は3年前よりTGSに出展しており、軽くて個人でも設営できる防音ルームを筆頭に、昨今の配信事情や個室事情を踏まえた高いスペックの防音製品を多数用意している。主にゲーマーや配信者といったユーザーを対象にしており、TGSへの出展で認知度を上げ、注文を増やしていきたいと担当者は語る。実際に筆者も入ってみた所、個室ブースの遮音性はかなりのものであった。もし隣の部屋からゲームの音や声が聞こえてきたとしても、防音ルームに入ってしまえば何も聞こえないレベルといって差し支えない程であるといえば、そのスペックの高さが分かるだろう。

ソニックレーシングの宣伝を行うセガブース前

 ここまで駆け足で見て回った内容を書いてきたが、それでもまだまだ伝えきれない内容は非常に多い。ぜひ東京ゲームショウを見て、回って体感して頂きたいものである。

Author
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尾崎 信也
1986年神奈川生まれ。ゲームニュースエディター。国内ニュースメディア複数社での記者・編集者を経験後、独立。ビデオゲーム業界の最新動向をメインに、ニッチな情報を含む幅広いトピックについて配信。