エスケープ フロム ダッコフ告知画像

増える「タルコフライク」とPvPvE疲れ、そして投入される「ダッコフ」の影響力

最近増えつつあるゲームジャンルとしてバトロワ系ゲームが挙げられるが、そういったタイトルの中の一つの要素として頭角を現しているのが、いわゆる「タルコフライク」と呼ばれるゲームだ。本記事ではそういったジャンルについての簡単なおさらいと、本家本元の作品にオマージュされたタイトル「エスケープ フロム ダッコフ」を取り扱っていく。

Escape from Tarkovとは

 タルコフライクという言葉はローグライクやソウルライクといった「◯◯みたいなゲーム性を持つタイトル」に付けられる用語である。ローグライクであれば探索系ターン制ゲーム「Rogue」が、ソウルライクであれば死にゲーと名高いアクションRPG「Demon’s Soul」「Dark Soul」シリーズがこれに当たる。そしてタルコフライクのタルコフとは、Battlestate Gamesによって開発されているFPS「Escape from Tarkov(エスケープ・フロム・タルコフ)」の事を指している。

 同作は元々有償のβ版が公式サイトにて2017年より提供されていたが、2025年11月15日にSteam版が正式リリースされる。主なゲームの特徴として、リアリティ溢れる要素と戦場からの「脱出」を念頭に置いたシステムが挙げられる。これまでのFPSゲームに多く見られるルールとして、敵味方に分かれたりあるいはバトルロイヤルを行ったり、特定の拠点を選挙したりするといったものが挙げられる。これは毎回試合時に必要な弾薬が適宜補給され、場合によってはNPCも巻き込みながら、試合がそれぞれ独立・完結して行われるものである。そのため補給を気にする必要はなく、また試合前のロードアウトにおいても必要となるのは武装のカスタマイズやセッティングだけであった。

 ここに「広大なエリアから脱出し、物資を持ち帰る」という生き残りの要素を加えたのがタルコフである。エリア内は見通しの悪いところも多く、敵対するプレイヤーに見つかり敗北すれば、戦利品の全てを失うというハードなシステムは、それまでのゲームとは大きく違う「事前準備と生還」に多くのリソースを割くという新しい体験をもたらした。もちろん自分に勝機があるなら戦闘を挑んでも良いが、負ければもれなくそれまで積み上げたものを台無しにしてしまうというのは、これまでのFPSではあまり見られない「見つからず、見つけて、場合によっては逃げる」という行動が生存戦略として最適である事を意味している。そのためかこの緊張感に取り憑かれるユーザーが次第に増え、そして多くのゲームがそのシステムを取り入れた作品を出していくようになる。

エクストラクションシューターとPvPvEの盛り上がり、そして広がる荒野

 さてこういった「プレイヤー同士の交戦にNPCが介入する事もあり、物資を持ち帰って生還するシューティングゲーム」はタルコフライクと呼ばれるようになるが、本記事ではもう一つの呼称である「エクストラクション(探索)シューター」と記載していく。最近発表されたタイトルとして「ARC Raiders」「EXOBORNE」「Arena Breakout: Infinite」などが挙げられる。一見すると花盛りと思われるジャンルであるが、この手の作品はバランス調整が非常に難しい。NPCが強すぎればPC以上の脅威として立ちはだかる事になり、タイトルが林立すれば新規性が失われ、シューターである以上は銃撃戦での魅力を与えてやらねばならない。まして、脱出・勝利するその時まで気が抜けない要素が多いものであるのなら、尚更実装された要素やバランス調整に過敏になるものである。

 一時期話題となった「The Cycle:Frontier」「Steel Hunters」といったタイトルは、それぞれ変化する天候要素や巨大メカといった要素を売りにしていたのだが、それ以上に魅力的な要素を打ち出すことが出来ず、どちらもサービス終了に追い込まれてしまっている。もちろん開始直後は両タイトルともにプレイヤー数が多かっただけに、短期でのサービス終了というのはこの手のジャンルを成立させる難しさを感じさせる出来事である。

 また、PvPvE系タイトルとして出ている「SYNDUALITY Echo of Ada」も、PvP要素とPvE要素の明確な切り分けが出来ておらず、ロストする装備品は必需品ながら結構な値段が張り、かつ上位環境では装備のロストを保護する要素が通貨による支払い以外に無く、生産に大きな手間が掛かるなどそもそもの環境がロスト前提となる要素に不向きとなってしまっている。その結果、プレイヤーが交戦状況をコントロールしやすいPvE専用のモードが望まれるなど、PvPvE要素に「疲れてしまった」ユーザーの声が多く聞かれることとなった。

ゆるいPvE系?脱出シューターのダッコフ

 さてここでタルコフのようなゲームと称されるタイトルを一つ紹介する。Team Sodaが開発を手掛ける見下ろし視点PvE脱出シューティングゲーム『エスケープ フロム ダッコフ』である。そのタイトルから見て分かる通り、あからさまに意識したような作品となっているが、タイトル通りプレイヤーキャラクターはダッコフ…つまりDuckなTarkovの通り、全てかわいいアヒルとなっている。

 ゲーム内容としては敵を襲撃し、素材を集め、武器をカスタマイズし、基地を拡張していくという積み上げ型のタイトルだ。そして最終的には惑星を脱出するための宇宙船を建造することが目標となる。同作は10月16日のリリースを前に、東京ゲームショウ2025にも出展を果たしたタイトルだ。

 内容は硬派に思える上に激しい銃撃の応酬があったりとハードな作品に思えるが、アヒルの可愛さで全てが癒やされるような出来栄えとなっており、また見下ろし型のエクストラクションシューターともあって、本家タルコフとはまた違った緊張感がクセになるとユーザーからのラブコールが殺到しているという。

エスケープ フロム ダッコフは10月16日発売

 明日をも知れぬ荒みきった戦場に、アヒルは一服の清涼剤兼マスコットとなるのだろうか?それはこの混迷のゲーム市場を脱出するまで、わからないものである。

Author
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尾崎 信也
1986年神奈川生まれ。ゲームニュースエディター。国内ニュースメディア複数社での記者・編集者を経験後、独立。ビデオゲーム業界の最新動向をメインに、ニッチな情報を含む幅広いトピックについて配信。