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PC版キングスレイドのCBT募集開始 名作ゲームの復活はあり得るか

Masangsoftは2025年9月18日、PC版「キングスレイド」のクローズドβテストをSteamで開催すると発表し、テスターの募集を開始した。参加申込みはゲーム公式サイトにて受け付けられており、詳細なテスト日程は後日案内される予定だ。

 なお、同タイトルは東京ゲームショウ2025でも同パブリッシャーブースの試遊タイトルとして名前が挙げられている。これまでにリリースされたモバイル版とはまた違うプレイ感となるとの事であるが、その詳細は明らかになっていない。

 今回にわかに浮上したこのキングスレイド、元々は歴史あるタイトルであったのだが昨今その名前を聞いたことがあるユーザーはそこまで多くない状況となっている。その流れも含めて追いかけてみる事にしよう。

キングスレイドという半放置・収集型ゲームの雛形

 キングスレイドは韓国のVESPA(後のanic)が開発したiOS/Android向けゲームだ。2016年9月にタイで初リリース後、韓国国内では2017年2月に、日本では2018年3月より順次サービスがスタートする事になる。ゲームの舞台は剣と魔法の息づくオルビス大陸。そこを舞台に、見習い騎士カーセルと幼馴染の司祭フレイの二人が、失踪してしまった兄貴分の騎士クラウスを探しに冒険に出る物語だ。

 同作はイベントにおけるストーリーも含めて至る所でキャラクターが多く出現するが、いわゆる「キャラガチャ」の方式を採っていない事が特徴の一つだ。キャラクターの固有装備となる「専用武器」などは一定のプレイ期間を必要とするコンテンツではあるが、キャラクターそのものについては買い切り型もしくはクエストなどコンテンツの進行に応じて開放されるといったものである。そのため「このキャラクターが気に入った!」と思えば、資産さえあれば買えてしまうというある種お財布に優しめな設定は広く受け入れられた。

 キャラクター造形については当時珍しいトゥーン調かつ3Dベースの美麗なモデルが使われており、アニメーションやエフェクトに至るまで高い水準のゲームであった。またゲーム開始時のオープニング画面もアップデートに伴って度々演出が入るクオリティの高さとなっており、特に後半からはヴォーカル付きのBGMが採用される事も多かった。

 ゲームシステムは4人一組でパーティを組み、合計3Wave程の戦闘をこなしてステージを突破していくというシステムが基本となっている。攻撃も物理攻撃・魔法攻撃と2つの属性が混在し、それぞれに強い・弱いキャラクターを適切に配置して攻略を進める必要がある。各キャラクター4つのスキルを持っているが、そのスキルも様々で完全オートプレイで事足りるキャラからプレイヤーの操作が必須となるキャラクターまで多岐にわたる。もちろん完全オートプレイで安定して攻略できればよいのだが、敵の中にはスキルの発動タイミングを調整しないと討伐できない塩梅のボスも出てくる。そういった相手にはプレイヤー操作の腕の見せどころではあるのだが、いかんせんキャラクターもスキルも、そしてキャラクターが成長する方向性も多様であるため「アップデートが進むたびにとっつきづらくなる」というのは難点の一つであった。

 現在のゲームシステムで言うなら、ある程度プレイヤーの介入を必要とするが基本オートのプレイングに任せるというスタイルでは「ブルーアーカイブ」「アークナイツ」といった事前戦略を組むタイプのゲームに近いものがあるだろう。そういったゲームのいわば草分け的な存在として語られるにふさわしいポジションのゲームと言える。ステージを攻略すれば場合によっては報酬が手に入る為、高難易度コンテンツに挑戦してはギリギリで突破出来るようになり高レベルの装備を手に入れていくという擬似的な「ハックアンドスラッシュ」に近い側面もあると言える。

人気と陰り、英雄は戻るのか

 同作は元々大々的な口コミはされていなかったにも関わらず、サービス元の韓国をはじめ多くの地域でそのクオリティの高さなどが話題となり、一気にユーザーを獲得したタイトルとして知名度を上げた。その結果として韓国発のコンテンツが日本で成功するという土壌を築き、アニメ化も果たすなど一躍時のゲームとなったのである。

 しかしゲームのサービスが長引くにつれて、ある一つの問題が鎌首をもたげ始める。それは「先発のユーザーを満足させ、後発のユーザーを獲得できる」コンテンツをいかに実装するかというものである。この点において周回要素の強いコンテンツしか実装出来なかった同作の拡張性は行き詰まっており、キャラクターの強化要素などを打ち出してもそれを前提とした難易度のコンテンツが新規ストーリーとして実装されるなど、ゲームの方向性に行き詰まりを見せていた。

 またサービスイン当初こそ美麗な3Dグラフィックを売りとしていたものであるが、年数を経るに従って様々な魅力を持った後発タイトルが出てくるものである。同社はキングスレイド以降のタイトルに恵まれず、新規タイトルとして出したタイムディフェンダーズはユーザーからの評価を得るのが困難なタイトルとなってしまった。後発のビジュアル系ゲームとしては、2Dアニメーションを活かしたタイトルの「エピックセブン」や、2年半後の2020年9月には3DアクションRPGとしてメガヒットを飛ばす「原神」など、そのグラフィックの優勢は最早優勢として機能するには微妙なセールスポイントとなってしまっていた。なお操作感の近いブルーアーカイブは2021年にサービスインを果たしている。

 そして2022年7月4日、サービス元のVespaは全社員の一斉解雇を通知。同社は吸収されanicと屋号を変えたが、キングスレイドのサービスは2025年3月に終了。もてはやされたタイトルのあっけない幕切れであった。今回のSteam版については同社の名称が見当たらない為、Masangsoftが権利を買い取ったものと見られる。

 磨けば光る要素の多かったキングスレイドは、作品の出来上がりが余りに早すぎた故に煮詰まってしまった惜しいケースである。今回のPC版での再スタートからどのような「英雄の」ゲームへと変化を遂げるのか、ユーザーから熱い視線が注がれている。

Author
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崎山 郁美
1996年兵庫生まれ。ゲームニュースエディター。国内エンタメメディアの編集者・記者を経て、独立。PCゲームやモバイルゲームの海外ニュースやトレンドを中心に日本の読者向けに発信中。