9月16日、「MARVEL」と「CAPCOM」のタッグ作を7タイトル収録した対戦格闘ゲームコレクションソフト『MARVEL vs. CAPCOM ファイティングコレクション アーケードクラシックス』が、全世界で累計販売本数100万本を突破したと発表した。同数値は2025年8月31日時点のデータであるため、現在もまだじわじわと数が伸びているものと予想される。
同作は『エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム』から『マーヴル バーサス カプコン ツー ニューエイジ オブ ヒーローズ』までの6タイトルに加え、国内では初移植となる横スクロールベルトアクションゲーム『パニッシャー』を含めた、全7タイトルを収録している。特にパニッシャーに関しては国内でプレイ可能な環境を整える難しさから、知る人ぞ知るタイトルとなっていた。
最近でこそ様々なゲームの移植版、あるいはコレクション版が発売・配信されているが、それでも古いタイトルとはいえ格闘ゲームが100万本突破というのはなかなかに無い数字である。同作が注目される理由はどこにあるのだろうか。
カプコンのコラボレーションタイトルとMARVELの関係
格闘ゲームが溢れる中において、これだけ注目されるタイトルは珍しい。しかしここに至るまでカプコンが積み上げた実績もまた相応のものである。
カプコンがMARVEL作品の格闘ゲームを手掛けたのは「X-MEN CHILDREN OF THE ATOM」がスタートとなる。隠しキャラクターとしてストリートファイターシリーズの豪鬼が出演しているが、同作はアメコミである「X-MEN」のキャラクターが入り乱れて戦うというコンセプトが大いに人気となった。当時のアーケードタイトルの格闘ゲームの中でも派手な演出はプレイヤーの度肝を抜いたのである。続編である「MARVEL SUPER HEROES」ではマーヴェル・コミックスのキャラクターから選抜されたキャラクター達が戦うお祭り的作品となっており、こちらもアメリカでは大きな人気となった。

しかし日本においてはX-MENやMARVELがそこまで認知されていなかった事もあって、その次のタイトルとなる「X-MEN VS. STREET FIGHTER」は1996年に驚きをもって迎えられた。
ストリートファイターシリーズは格闘ゲームにおいて押しも押されもせぬ人気ぶりを誇っていたが、そこでかつて1994年にテレビ東京でアニメーションが放映されていたX-MENがコラボレーション。同作は先述したX-MEN CHILDREN OF THE ATOMから引き継いだド派手な演出も合わせる形で搭載しており、当時リュウやケンの真空波動拳が横一直線に広がるビーム砲の様な演出となったり、あるいは画面全体を活かした派手な超必殺技はこれまでのストリートファイターシリーズの演出をも進化させるきっかけとなったといっても過言ではない。

そこから「MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER」というマーベル枠とストリートファイター枠の対戦となり、その後の集大成かつお祭りゲーの様相を呈する作品「MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES」がリリースされる。カプコンの名がついている通り、ストリートファイターシリーズ以外のキャラクターは他のゲームから出てきており、新規ドットで起こされたキャラクターも多数いるという豪華な出来栄えとなっている。スペシャルパートナーというアシスト専用のキャラクターも含めれば、非常に多くのキャラクターが登場する同作の発売は、「企業対企業というコラボレーションタイトル」のVS系ゲームの祖とも言えるだろう。
その後総勢56キャラクターという膨大なキャラ数をPS2の環境でも実現可能とした「MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES」は、ゲームバランスこそ微妙な仕上がりとなっているがそのキャラクター数の多さという点から一定の評価を受けている。同作が本来であればVSシリーズの最終作として位置づけられていたようであり、だからこそこれだけのキャラクターを登場させたのだろう。
格闘ゲームの3D化と失速
今回収録されたのはMVC2までであり、続編となる「MARVEL VS. CAPCOM 3」が2011年にリリースされている。その後は追加要素を含めた「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」が発売されたが、当初は対戦ゲームとしてはかなり偏ったバランス調整が見受けられており、キャラの強弱が非常に明確な形で現れていた。もちろんそれをひっくり返す事も可能ではあるが、一筋縄ではいかない難易度となるだろう。とはいえ同作はバランス調整を重ねてなんとか「やりこめば勝てる」ほどにはマイルドになったため、今でもある程度の人気を保ち続けている。
同シリーズは2016年に「MARVEL VS. CAPCOM INFINITE」が発表されたが、ここでユーザーは一斉に背を向ける形となってしまう。なんと同作からは著作権の関係でX-MEN関連キャラクターが削除されており、その上これまで収録されていた日本語音声も削除。DLCコンテンツにおいても両要素ともに復活が見られない為、現在その実装は絶望的となっている。
ここまで説明するともうお分かりの方もいるだろうが、現行機で「ドット絵2D格闘ゲーム」を遊びたいという需要が未だに強いものであり、その上で改めて同シリーズの移植を待ち望んでいたユーザーが多いという事である。全世界100万本のセールスとなるとそうそう達成できるものではないし、まして過去作であるというある種のハンデを持った上で、これだけの本数を記録している。
古いゲームだからといって人気が無い訳では全く無く、むしろファンの多い作品は積極的に掘り起こす必要性があると再認識させられた今回の発表。今も昔も「俺より強い奴に会いに行く」のが楽しいユーザーは多いのだ。
最終更新日: 2025年9月18日 09:04