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ロックマンシリーズ再評価の流れ 今なお愛される名作たち

9月17日、株式会社カプコンは最新のキャラクターグッズやファンシー雑貨などのカプセルトイを多数取り揃えたスポット「CAPSULE LAB(カプセルラボ)」とカプコンタイトルグッズを多数取り扱った直営店舗「CAPCOM STORE(カプコンストア)」にて、「ロックマンエグゼ」シリーズのオリジナル商品を発売すると発表。今回は「ロックマンエグゼ」シリーズから、ゲームシステムの一つ”ココロウインドウ”を題材にした商品「ココロウインドウストラップ」に新規バージョンが追加されるとの事である。

 またこれに先駆ける形で、9月12日に「流星のロックマン」シリーズのナンバリング3作品、計7タイトルを収録した『流星のロックマン パーフェクトコレクション』が2026年に発売を決定したとのリリースも行われた。先述したロックマンエグゼシリーズについては、2023年4月14日よりシリーズ作品をひとまとめにした「ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション Vol.1/Vol.2」がそれぞれ販売されており、移植を待っていたファンから歓喜の声があがった事は記憶に新しい。今回の立て続けの発表により、ゲームボーイアドバンス以降の携帯機向けロックマンシリーズは2020年2月発売の「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」も含めると、PSPで発売された「イレギュラーハンターX」「ロックマンロックマン」やワンダースワンで発売された「ロックマン&フォルテ 未来からの挑戦者!」、ゲームボーイアドバンスで発売された「ロックマンエグゼ4.5 リアルオペレーション」を除けば出揃った形となる。

ロックマンエグゼ・流星シリーズと現代社会の程よい親和性

 今回新グッズが出たロックマンエグゼ、そしてコレクション版製作が発表された流星のロックマンはその双方が、これまでのロックマンと大きく違う要素を引っ提げて登場した作品である。メインシリーズやX、DASHなどのタイトルは主人公となるロックマンやエックス、ロックといったキャラクターはそれぞれ人間ではなくロボットであり、作品によっては相棒となるキャラクターと共に巨大な悪や秘匿された敵に立ち向かっていく近未来あるいは遠未来を舞台とした物語となっている。ゲームとしてもアクション要素が非常に強いものだ。

 しかし先の2つのシリーズでは、主人公はそれぞれ「光 熱斗(ひかり ねっと)」「星河スバル(ほしかわ すばる)」という小学生であり、各々が相棒となる「ネットナビ:ロックマン」「宇宙人:ウォーロック」と行動を共にする。主人公を取り巻くキャラクターも同じ学校の学生たちであったり、面倒見の良い大人たちが主軸となって物語が動いていく。ロックマンエグゼシリーズでは基軸となるテクノロジーとして描かれた「PET」「ネットナビ」といった諸要素は、今で言うスマートフォンとAIコンシェルジュがそこに近しい立ち位置にいる。そんな「あり得るかもしれない未来」を先取りしたかのようなワクワク感をもたらす舞台を探索するRPGなのである。

 ロックマンエグゼでは世界を繋ぐ電脳世界やそこに広がるインターネット空間が描かれ、流星のロックマンでは電波を主要な要素とした空間で行動する事がメインとなるなど、当時花開いた「コンピュータとネットワークの世界」を魅力的に描いた、現代社会を舞台とした和製サイバーパンクとでも言うべき要素も見逃せない。往年のプレイヤーであれば、当時存在していた通信可能な公衆電話などに「プラグイン!」しようとした経験もあるのではないだろうか。

ネットワーク社会とココロの描き方

 両シリーズ作品ともに、主人公である小学生にとっては背負うに過酷すぎる展開がシリーズを追うごとに描かれていく。その方向性は同じカプコンの手掛けるRPG「ブレスオブファイア」シリーズのように、時に非常に重苦しく、あるいは立ち止まって考えさせられるような内容が多いものとなっている。友人との別れや使命を果たさなくてはならないが故の親族との離別、覚悟を決めて先人の意思を引き継ぐ様なシーンから見えるのは、決してゲームボーイアドバンスやニンテンドーDSであるからといって「子供向け」とは言えないストーリーの奥深さだ。そして今では当たり前となったネットワーク社会というものを予期して描く「人の心の在りよう」である。

 タイトルによっては多くの人が亡くなりながらも自分たちの使命を果たすシーンや、ネットワーク社会の崩壊を招くプログラムを止めるために自分の意識共々ネットに入り込んで打倒を目指すといった主人公の覚悟を示すシーンはもちろん、日常生活の会話内容も含めてその「ネットワーク社会に移行したらこうなるのではないか?」という自然さは特筆すべきものであり、いわゆる「シナリオによるご都合主義」を意識しない出来の良さは作品の魅力を大きく押し上げている。もし仮に今の世情を反映した新シリーズを出すとするにしても、大いに期待出来るだけの素地があるのだ。

 先述したグッズであるロックマンエグゼシリーズにおける「ココロウィンドウ」は、戦闘中の行動で変化するロックマンの精神状態を表したシステムである。戦闘をいかにベストな動きで乗り切れるかが変化の条件であり、ダメージを受けたり追い込まれたりすると変化を果たす。今の気分を表すのにぴったりなアクセかもしれないが、悪状態やビーストアウトで居続けるのはその後を考えると速やかにチェンジする事をオススメしたい。

 ここ最近立て続けに盛り上がりを見せるロックマンシリーズの流れは、カプコンからもIPとして認知されている事を示すものである。是非ともシリーズの再興を願いたいものだ。

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崎山 郁美
1996年兵庫生まれ。ゲームニュースエディター。国内エンタメメディアの編集者・記者を経て、独立。PCゲームやモバイルゲームの海外ニュースやトレンドを中心に日本の読者向けに発信中。