昨今どの国でも人口は減りつつある状況にあり、特に若年層においてその減少幅は著しい。今は母数が担保されている文化でも、いずれは先細りとなる懸念は常に隣り合わせだ。日本におけるeスポーツはまさにその立場に居る状況であり、継続して惹きつけられるだけの視聴者と魅力的なプレイヤーの探索は必須となっている。今回はそういった取り組みの中から3つ、事例を挙げてみる事にしよう。
エリート教育で次世代の選手を選抜する
10月14日、株式会社Fennel(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長:高島 稜)は、全国でeスポーツのプロ講師によるマンツーマンレッスンを行うeスポーツスクール「AFRAS(アフラス)」のマーケティング支援を開始したと発表を行った。同スクールは全国に10校舎以上展開をしており、在籍しているのは小学生から中学生、高校生、大学生、社会人、シニアまで年齢に関係なく幅広い受講生を抱えている。
今回同スクールが運営するTikTok公式アカウントの企画・制作・運用支援をFennelが行う事になったのである。TikTokは現在SNSとしてはかなりの人気を誇っており、若年層が利用者層の中心である事は度々話題になっている。ゲームの上達を目指すプレイヤーにとって魅力的に感じられるコンテンツを今後発信していく予定との事だ。投稿内容の一例として「厳しい審査を通過した講師陣の紹介動画」「実際にコーチングを受ける生徒のインタビュー」「レッスン現場のリアルな様子を伝える動画」などを紹介。実際にAFRASがどういうスクールであるかを知ってもらった上で、選抜のための門を叩くためのきっかけづくりを行いたい狙いがある。子供向けのアンケートでも「eスポーツプレイヤー」がなりたい職業としてエントリーする時代である。ぜひ興味のあるお子様をお持ちの方は覗いてみてはいかがだろうか。
プレイベントで来場者の心を掴むマーケティング

10月14日、東京都及び東京eスポーツフェスタ実行委員会は、令和8年1月9日から11日までの3日間、「東京eスポーツフェスタ2026」(以下「フェスタ」と表記)を開催すると発表した。イベント開催に先立ち、フェスタの機運醸成や多摩地域でのeスポーツの普及を目的として、プレイベントを実施するとの告知も併せて行った。フェスタの開催は2026年で7回目となる息の長いイベントだけあって、プレイベントの実施も積極的な様子だ。
プレイベントの開催は令和7年11月8日土曜日)11:00-17:00のスケジュールで行われ、場所は東京都武蔵村山市にあるイオンモールむさし村山 1F サウスコートとなっている。プレイベントのステージでは、『太鼓の達人』プレイヤーとして活躍されているゲーム実況者の「ごには」氏をゲストとして招待。参加者との「太鼓の達人ドンダフルフェスティバル」対決やトークショー等のプログラムを予定しているという。
太鼓の達人シリーズはゲームセンターなどでも人気のアーケードゲームであり、その一方ではコンシューマ向けの専用コントローラーによる家庭でのプレイまで、幅広い環境でプレイ出来るタイトルとなっている。体感型コンテンツをプレイするユーザーの身体を動かす様子や筐体による演出は訴求力が高く、自由参加可能なイベントでこの手の筐体が道路近くにあるだけでも人は注目するものである。フェスタ自体は来年1月とやや先にはなるが、その空気感を味わう一助として本イベントを覗いてみるのも良いだろう。
ハンディキャップをものともしないeスポーツの世界へ

10月14日、thatgamecompany, Inc.(本社所在地:アメリカ合衆国カリフォルニア州)は、認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区、代表理事:赤坂 緑)とテクノツール株式会社(東京都稲城市、代表取締役:島田 真太郎)主催のもと8月6日(水)に開催された、肢体不自由児対象のeスポーツ体験イベント「パラeスポーツ・フェスタ2025~インクルーシブ・テックで遊ぼう!~」にて、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』(以下、Sky)を体験コンテンツとして提供したと発表。同企業は「Flowery(SteamではFlower表記)」「風の旅ビト(英題:Journey)」などを提供しており、Skyはオンラインマルチプレイを通しての交流を主軸に置いたタイトルだ。
こちらのイベントには25組の肢体不自由となっている参加者が訪れ、「Sky」がわずかな力でも操作できるコントローラーなどを用いた体験ブースと視線入力装置の体験ブースという形で設営。これまで人と交流する事が難しかった参加者も、オンラインマルチプレイの中でゆるやかに交流する事でゲームの楽しさを知ることが出来たという。
実際に現役格闘ゲームプレイヤーとして独自設計のコントローラーを使い、格闘ゲームの総合イベント「EVO 2024」に参加を果たした畠山駿也氏の様なケースも存在する。自分自身の境遇に対しても技量と工夫で食いつき、第一線に立つ事も不可能ではないのである。
長期入院をしている患者がオンラインゲームを通して他者と交流するというストーリーのアンソロジーコミックが、ネットゲーム黎明期の2002年頃には既に掲載されている。現在ではデバイスの多様化も相まって、ハンディキャップをものともしない領域として「ゲーム」が好まれるようになっているのだろう。次代を担う層に満遍なくゲームを楽しんでもらえるように、その裾野が広がることを願うばかりである。
最終更新日: 2025年10月15日 16:29