東映アニメーション株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:高木勝裕)は、アニメ「ガールズバンドクライ」から生まれた謎ゲーム『桃香(を)ワッショイ』を9月29日よりSteamプラットフォームにて配信開始したことを発表した。同作は10月13日までセール実施中となっており、通常価格500円の所を400円で購入できる。突如現れた文字通りの「謎ゲーム」に対し、Steamの評価はなんと「非常に好評」だ。この謎ゲームをきっかけとして、こういった本編の魅力をシュールに増幅するゲームについて触れていきたい。
生まれるのが20年位遅かった可能性
本作の説明は、公式によると「ゲームはシンプルな2Dラン&ジャンプ!井芹仁菜と安和すばるを操作し、様々な障害を乗り越えながら河原木桃香を自宅のソファーまで送り届けましょう。」となっている。この説明だけを見ると、軽快なアクションでスピーティーな操作が出来て、アニメを元にしたコンテンツであるからある程度リッチなものだろうと想像するユーザーは多いだろう。500円という値段であるから、そのあたりを期待したい思いで購入したユーザーの眼の前に出されるのは、以下の様相である。
やや歳を重ねたPCゲーマーからすれば、どこか懐かしい風体すら感じさせる画面構成である。担ぎ役の二人がシャカシャカとユーモラスに足を動かしながら、死んだ魚のように動かない河原木桃香を担ぎ、最後は変に画面を上下するソファーに向けて彼女をシュートするとゲームクリアだ。説明文を読んでもよくわからないと思われた方も多いかもしれないが、残念ながらこれが言葉で形容出来る全てである。ただしこれは先述した説明に対して何も違いのない要素であるため、嘘は言っていないという点は非常に評価できる所である。つまるところ、説明通りのゲームなのだ。

画面を見て分かる通り、平たく言えば「昔流行っていたFlashゲーム」の様な感が強くするタイプの、よくも悪くもシュールさとコケティッシュさに全振りした雑味の凄まじいタイトルといっていいだろう。それもそのはずであり、このゲームは元々ガールズバンドクライのゲーム化が発表された際に、アニメスタッフがゲーム内容の予想として制作したものである。つまりは何も決まっていない所から虚無が生えてきたようなもので、それ故にコンテンツのリッチさなどとは無縁であっても許されるような作品に仕上がっているのだ。なおキャラの切り抜きの輪郭線も雑い出来であるが、それもまた味わい深い仕上がりと言えるだろう。
バカゲーとキャラゲーの紙一重
こういったキャラクターベースの「キャラゲー」は相応に評価が分かれやすいタイトルとなっている。古いタイトルではあるが「ビビッドレッド・オペレーション あかねとマヨっとオペレーション!」は、ある程度恵まれた素材から生まれたキャラゲーとして一部界隈では有名である。ゲーム内容はメインヒロインがひたすらマヨをご飯にぐりぐり途切れる事なく掛けるだけという、余りに薄いゲーム性が話題となった。これに対して300円という値段設定もさることながら、このゲームをクリアして得られる要素が本編に対して武器のスキンチェンジ要素でしかないという、これまた薄い連動要素はユーザーからの不評を買ってしまった。

一方で最近Nintendo Switch 2向けにリリースすると発表され話題となった「へべれけ ばにーがーでん」は、ミニゲームチックなキャラゲーとして相応の出来が期待されている一作だ。これはアドベンチャーゲームである「バニーガーデン」のスピンオフ作品であり、原作であるバニーガーデンからメインキャストの3名が全員登場。原作では彼女達が務めるコンセプトバーにて、飲酒をしたりキャストと交流することがメインとなる。そのスピンオフである本作は、アルコールを呑み過ぎた彼女達が千鳥足でふらふらになりながら、コンビニの棚をなぎ倒したり道端で寝転びそうになったりしながら、きちんと自宅まで帰してあげる事がプレイヤーの目的となる。こちらについてはゲーム性がシビアになろうがイージーになろうが、いわゆる「バカゲー」としてシチュエーションからくる面白さが保証されている。バニーガーデンが大人気であっただけに、本作はミニゲームとしてどこまで話題になれるのか注目されている。
ゲーム内ゲームを楽しむか、フルリリースミニゲームを楽しむか
今回取り上げた作品は、いずれも独立した一つのゲームとして出ているタイトルだ。それとはまた別軸の話になるが、昨今のRPG系タイトルを中心にゲーム内でミニゲームが仕込まれるケースも多い。例えばスマートフォン向けアクションRPG「ゼンレスゾーンゼロ」では、多数のミニゲームをまとめてプレイ出来る「ゲームセンター」が、プレイするキャラクターの描写を深めたりする付随要素として機能している。オープンワールドRPG「原神」では、フィールドギミックとしてもイベントギミックとしても、様々なミニゲームが実装されている。
ゲーム内ゲームとして評価が高いのは、プレイステーション時代のタイトル「ゼノギアス」に登場する「バトリング」というゲームだ。コマンド式RPGである本作の中で、3Dアクション格闘ゲームじみた要素が非常に強いミニゲームとして「これだけで一本別のゲームが出来るのでは」というボリュームを誇る要素であった。ここまで極端に尖った例はそう多くないが、ゲーム本作とは別に語られる程のミニゲームというのは開発に余裕があるからこそ出来た代物なのだろう。
スピンオフ作品として出てくるミニゲームとして質が高いものは、ゲームを独立させてリリースする事で話題性を得やすい状況となる。一方でゲーム内にハイクオリティなミニゲームを入れる事はゲームの副次的な楽しみ方を提供する。どういった傾向のゲームが生き残っていくのか、今後の展開に注目したい所である。
最終更新日: 2025年9月30日 10:02