グラナド・エスパダ Mのトップ画像

Granado Espada Mから見る今と昔 TGS2025で一旗揚げられるか期待

 メガゾーンクラウドは2025年9月20日、韓国における大中小企業農漁業協力財団 – 大中小企業同伴進出支援事業の一環として、有望な韓国中小ゲーム会社9社と共に、2025年9月に幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2025」に主管企業として参加することを発表した。

目次
  1. グラナド・エスパダという歴史
  2. 一本勝負が続くが故の苦労
  3. モバイル化と体験の差

 今回出展する9社はホール8のN11番ブース前後にまとまっており、韓国発インディーMMORPG、Teeny Studio Inc.の新作『Outlaw Survivor』やNanali Incの新作『TinyCafe』などが展示されるとのことだ。そんな合同ブースの中で一つ、懐かしい企業の名前とタイトルを冠するブースが存在する。HanbitSoftがN13ブースにて発表する『Granado Espada M』である。

グラナド・エスパダという歴史

 今回HanbitSoftが発表するGranado Espada Mは元々PC向けオンラインゲームとして提供されていたタイトルがベース作品として存在する。現在Steamでプレイ可能な「グラナド・エスパダ(Granado Espada)」がそれに当たる。同タイトルは2006年7月から日本においてサービスが開始され、その運営元はHanbitSoftと日立製作所の共同出資会社である「株式会社ハンビットユビキタスエンターテインメント(HUE)」が担っていた。

 同タイトルを語る上で外せないのは、サービスイン当初としては破格の美麗さを誇るグラフィック、久保田修氏を迎えての重厚感溢れるリッチなサウンド、当時人気のある声優陣が務めるキャラクターボイス、そして3人一組のパーティをプレイヤーがコントロールするマルチキャラクターコントロール (MCC)」というシステムだ。グラフィックは発表当初のタイトルの中では群を抜いて美麗であり、また自由にカメラコントロールが効くため好きなカメラワークでフィールドやキャラクターを見る事が出来るのでスクリーンショットを撮りやすく、匿名掲示板を中心にゲーム内のスクリーンショットを提示し合う光景が見られた。

 サウンド周りでは序盤のダンジョンである「アル・ケルト・モレッツァ」を中心に、今もなおファンの多い名曲が取り揃えられている。「トルシェー屋敷」ダンジョンで流れるBGM「Esa Promisa」はゲーム内外問わず人気の一曲となっており、ゲーム内では変な歌などとユーザーが愛称か蔑称かはっきりしない呼び方まで定着するほどである。新機軸のシステムMCCも、これまで「複数のパソコンでそれぞれキャラを動かす多アカウント操作」が行われていたオンラインゲームのあり方を参考に、初めて複数キャラクターを一人のプレイヤーが動かすシステムとして搭載されたものである。敵キャラクターも一人二人ではなく、多数の敵がまとまって出てくるフィールドがほとんどであり、それ故に派手かつ手応えのある戦闘もまた魅力的な要素であった。

一本勝負が続くが故の苦労

 こうして順調にコンテンツの拡充も行われ続けてきたグラナド・エスパダであるが、そのゲームプレイにおける諸要素は決してライトなものではなかった。本作はレベル上げの主な要素として、定位置からほぼ動かずに自動で攻撃し、元の場所に戻るオート攻撃のシステムが存在する。これを稼働させれば、睡眠時間や通勤・通学で帰るまでの間などゲームをプレイ出来ない中でも経験値を稼ぐ事が出来るというメリットがある。そしてこのゲームは、あろうことか「それが当たり前の導線設計」となってしまっていたのである。後々放置中に敵が落としたアイテムを拾うペットユニットが実装されたものの、そういう損失も込みでレベル上げを行う必要があるゲームであったのだ。

 また追加される要素ごとにプレイヤーはパワーアップを行えるが、そのパワーアップが体感できるほどになるまでにもだいぶ時間とリアルマネーを要することになる。それに並行して新規キャラクターが実装されたりするのだが、それも同上で大幅にプレイ時間を取らなければいけないものが多々あったのである。そうしてコンテンツの難易度が先鋭化し続け、必要とされるリアルマネーも積まれる頃になって、オンラインゲームは様々な後発タイトルが出てきたのである。

 後年出てきたタイトルとして2007年の「Soul of the Ultimate Nation」、2009年の「PRIUS ONLINE」、2011年の「TERA」、2013年の「ArcheAge(アーキエイジ)」、そして2015年の「黒い砂漠」と、海外のオンラインゲームに親しいユーザーであれば聞いたことのあるタイトルが多く見受けられる2000年代から2010年代にあって、そのコンテンツも多様化し、表現の幅も大きく広がっていった。そこにおいてGranado Espadaの長所であるグラフィックの美麗さやサウンドといった点は、もはや「それが当たり前」となりつつある所に落ち着いてしまったのである。

モバイル化と体験の差

 さて今回のGranado Espada Mについてサービスイン直後にプレイもしているが、コンテンツとしての方向性は大きく変わっている。これまで「対集団」であったスキルは軒並み対個人相手の小範囲スキルとなり、演出についてはモバイル相当にグレードダウンしている。加えて元のタイトルでは無料かつシステムの一部として組み込まれていた「スタンス(能力)」のチェンジ要素が課金前提のバランスになり、クエスト周りも昨今のモバイル向けタイトル相応に「オート移動」となる要素が多い。キャラクターのスタンス周りも大きく変化しており、例えばトラッパー系キャラクターのエンジについては毒ガスをばらまくDoTダメージ系キャラへと変貌を遂げている。

 新しい時代の遊び方に回帰したGranado Espada Mは、果たしてグラナド・エスパダの後継作としてふさわしい土壌を築けるのだろうか。決して大きくはないブースで、できる限りのアピールでタイトルの魅力を広げられるよう期待したい。

Author
Image of 尾崎 信也
尾崎 信也
1986年神奈川生まれ。ゲームニュースエディター。国内ニュースメディア複数社での記者・編集者を経験後、独立。ビデオゲーム業界の最新動向をメインに、ニッチな情報を含む幅広いトピックについて配信。