10月27日、株式会社エディア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:賀島 義成、以下:エディア)は、『闘神伝』が発売30周年を迎えたことを記念し、2025年10月、商品化ライセンス契約を締結したことを発表した。併せて、「闘神伝」、「闘神伝2」、「闘神伝3」を現行機種へ移植する事についても2026年度〜2027年度の発売を目指し行っている旨を告知した。
闘神伝シリーズから見える3D格ゲー黎明期
闘神伝シリーズの歴史はPlayStationの勃興と共にあると言っても過言ではない。闘神伝は1995年1月1日、丁度元旦に銘打って発売されたPlayStation用3D格闘ゲームソフトである。この当時PlayStationに先駆けセガサターンにて、同じ3D格闘ゲームジャンルである「バーチャファイター」が既に発売されていたため、本作はPlayStationからの3D格闘ゲーム対抗馬という形で見られる事にもなった。
本作を含めたシリーズの特徴として、3D格闘ゲームの黎明期らしいシステムとユーザーフレンドリーな操作系が挙げられる。当時隆盛を極めていた2D格闘ゲームは一部タイトルで奥行きの概念があったものの、アーケードの格闘ゲームとしては「X-MEN CHILDREN OF THE ATOM」や「THE KING OF FIGHTERS ’94」に「スーパーストリートファイターⅡX」など、複雑なコマンド入力と読み合いを中心とするゲーム性を持つタイトルが多く見られていた。もちろん家庭用のコントローラーによる十字キーであればいい感じに必殺技の入力が行えるという状況でも、アーケードゲームではそうはいかない。まったく違う操作感に、プレイを諦めてしまうユーザーも見られていた。
また今でこそソウルエッジシリーズやアルカナハートシリーズ、BLAZBLUEにギルティギアシリーズといった「武器を使ったり、子供や大人や老人など様々なキャラクターが入り乱れて戦う」というタイトルは増えているものの、2D格闘ゲームではサムライスピリッツシリーズのナコルルやワールドヒーローズシリーズのジャンヌなど、戦闘技能に長けた女性や少女といったキャラ付けがされているに留まっていた。
その両者に風穴を開けたのが闘神伝である。同作はバーチャファイターシリーズと同じくリングの中央を起点として2人のキャラクターが戦うシステムとなっているが、そのゲーム性は大きく異なっている。コマンド入力を用いた必殺技のうち、4つまでがPlayStationのL1ボタンからR2ボタンまでの計4つのボタンに割り振れるのである。これによりコマンド入力が苦手なプレイヤーであっても遊びやすくなった作りは、現代の格闘ゲームにおけるワンボタン操作系のシステムの先取り要素と言っても過言ではないだろう。なお、いわゆる超必殺技ポジションの「秘伝必殺技」についても、L/Rボタン4つの同時押しで発動する事が出来る親切設計だ。
またキャラクターデザインについても、当時話題のデザイナーとなったことぶきつかさ氏の手で様々なタイプ付けがされている。正統派のイケメンキャラクターや渋い叔父様系キャラはもちろん居るが、中でも話題となったのは踊り子の少女でチャクラムの使い手のエリスだろう。シースルーの衣装を纏ったルックスは当時のプレイヤーの心を掴み、関連商品が多数出るというムーブメントが引き起こされた程である。
先述した3D格闘ゲームとしての位置づけとして、キャラクターが画面手前・画面奥に移動するシステムも搭載。これにより位置関係を考慮して相手の技を避けたりこちらからカウンター気味に仕掛けるといった事が可能となった。ただしこのシステムはリングアウトとも密接に結びついており、突進力の高い必殺技を繰り出しても軸が合わず、あえなくリングアウトするといった事態も発生する諸刃の剣でもあった。
こうして3D格闘ゲーム、かつライトユーザー向けのシステムを搭載し、当時絶大な人気を誇るキャラを輩出し、ゲームに詳しくなくても当時おぼろげに名前を聞いた事がある程には知名度を高めた同シリーズ。しかしそれは逆にライトユーザーを早々に掘り起こし過ぎてしまい、かつ時代を経るごとに3D格闘ゲームタイトルが増えるにつれて「軸移動」は一般的なシステムとなってしまった。本作のキャラクターデザインについても、PlayStation相当の立体的造形であり、ポリゴンにおけるキャラデザインが如実に評価されるのはPlayStation2以降のタイトルが多い。
時代が追いついてしまった結果、時代の先駆者である本シリーズの輝きは普遍的なものと化してしまう。ライトユーザーが他のゲームへ離れてしまう事もあってか、同シリーズは闘神伝 昴を最終作としてシリーズの命脈が途絶えてしまうこととなってしまったのである。
懐かしいタイトルだからこその復刻
PlayStationが発売された時期は、3D表現が可能な新規のハードウェアとして様々なソフトが輩出されていった。もちろん大手ソフトウェアメーカーの出したものについては大体がPlayStationアーカイブで収録されている。ただし既に精算や廃業してしまったメーカーのソフトについては未だに散逸しているか、あるいはメーカー側の都合で収録・リメイクが行われていないことも多い。そういった中で、古いソフトウェアが日の目を見、後の年代にまで伝わる可能性が生まれるという事は、昔は当たり前すぎて想像すらしなかった事態が目の前にあるという事に他ならない。
願わくは、一本でも多くのゲームが後世に伝わって欲しいものである。
最終更新日: 2025年10月28日 15:45